Snx10欠損マウスでの大理石骨病性くる病は破骨細胞性骨吸収と胃酸依存的カルシウム吸収の欠損による
Osteopetrorickets due to Snx10 deficiency in mice results from both failed osteoclast activity and loss of gastric acid-dependent calcium absorption.
著者: | Ye L, Morse LR, Zhang L, et al : |
---|---|
雑誌: | PLOS Genet 11 (3):e1005057, 2015 |
論文サマリー
Snx10は常染色体劣性大理石骨病のおよそ4%の原因遺伝子であるが,その機能や病態は不明な点が残されていた.Snx10発現が全身で大幅に低下(KD)するマウスは3〜4週齢で死亡し,骨吸収低下による重度の大理石骨病と,胃内高pHと低カルシウム吸収による骨石灰化不全によるくる病が合併した表現型を呈した.一方,破骨細胞特異的Snx10欠損マウスはくる病を伴わない大理石骨病を呈することから,破骨細胞のカルシウム代謝への寄与は少ないと考えられた.さらに,グルコン酸カルシウムの摂取が全身性Snx10 KDマウスにおけるくる病表現型を改善し寿命を大幅に伸ばすことも示された.
推薦者コメント
Snx10が小胞輸送の制御を介して骨吸収と胃酸性化の両方にかかわっていることを示しており,また,Snx10 KDマウスの表現型は過去の報告におけるoc/ocマウスやCckbrとSrcの二重欠損マウスと合致している.これらの知見は,消化管と骨代謝の連関を示しており,また,胃と骨における分泌輸送に共通の機構が存在する点で興味深い.(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学 助教・林 幹人)