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Gli1陽性の血管周囲細胞は損傷による組織の線維化に寄与する

Perivascular Gli1+ progenitors are key contributors to injury-induced organ fibrosis.
著者:Kramann R, Schneider RK, DiRocco DP, et al
雑誌:Cell Stem Cell 16(1) : 51-66, 2015

論文サマリー

慢性炎症による実質臓器の線維化は機能不全を惹起する.臓器線維症の根源は,炎症により分化誘導されたα-SMA(α-smooth muscle actin)陽性の筋線維芽細胞であるが,その起源については諸説がある.本論文は,
[1] 実質臓器にはGli1転写因子が陽性の血管周囲細胞が存在し,α-SMA陽性の筋線維芽細胞に寄与すること,
[2] Gli1陽性細胞の枯渇は組織線維化を抑制し,臓器不全を改善させることを明らかにした.
以上より,Gli1陽性細胞が臓器線維症の治療標的になり得ることが示唆された.

推薦者コメント

著者らは,各臓器におけるGli1陽性細胞が間葉系幹細胞能を有することも示している.マウスの切歯(Cell Stem Cell 14 :160-173, 2014)や頭蓋顔面骨のsuture(Nat Cell Biol 17 : 386-396, 2015)においてGli1陽性の間葉系幹細胞が同定されていることから,多くの組織における未熟な間葉系細胞はGli1陽性であることが示唆される.(松本歯科大学総合歯科医学研究所硬組織疾患制御再建学部門 講師・溝口 利英)