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マウスの発生段階、出生後の成長および骨折治癒過程における軟骨内の骨では、軟骨細胞が骨芽細胞に分化転換する

Chondrocytes transdifferentiate into osteoblasts in endochondral bone during development, postnatal growth and fracture healing in mice.
著者:Zhou X, von der Mark K, Henry S, et al :
雑誌:PLoS Genet 10 (12) : e1004820. doi: 10.1371/journal.pgen, 2014

論文サマリー

内軟骨性骨形成過程において、軟骨組織が骨組織によって置換されるステップは非常に重要である。しかし、このときの骨芽細胞の起源は不明であった。著者らは、軟骨膜、骨膜ならびに骨芽細胞を除き、軟骨細胞を選択的に蛍光標識した遺伝子改変マウスを作製し、軟骨内の骨芽細胞の起源を検討した。その結果、軟骨内の海綿骨は、軟骨細胞由来であり、骨芽細胞の形質を有していた。骨折の治癒過程の骨組織も軟骨細胞由来であると示された。したがって、内軟骨性骨形成過程においては、軟骨細胞が骨芽細胞に分化転換することが明らかとなった。

推薦者コメント

軟骨細胞が骨芽細胞に分化転換する可能性は古くから提唱されていたが、実証することは困難とされてきた。本研究が、緻密な実験モデルを構築し、この仮説を実証したことは特筆すべきことである。Yangらによっても同様の報告がされている(Proc Natl Acad Sci USA111:12097-102, 2014)。今後、軟骨細胞を活用した新規骨再生法の開発を期待したい。(大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座生化学教室・西村 理行)