日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

入会・変更手続
The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

Event/イベント情報

Book/関連書籍のご案内

member/会員ページ

Brave heart

TOP > Hot paper > 小林 泰浩

Dap12とαvβ3インテグリンの欠損は重篤な骨大理石病を起こす

Absence of Dap12 and the αvβ3 integrin causes severe osteopetrosis.
著者:Zou W, Teitelbaum SL:
雑誌:J Cell Biol 208(1) : 125-136, 2014 doi: 10.1083/jcb.201410123. Epub 2014 Dec 29.

論文サマリー

ITAM分子であるDap12とFcRγが仲介する共刺激シグナルは,破骨細胞形成に必須である.しかし,これらの分子単独のノックアウト(KO)マウスは骨大理石病を呈しない.著者らは,Dap12とβ3 インテグリンのダブルKOマウスは重篤な骨大理石病を呈することを示した.Dap12単独KOマウスでは,αvβ3インテグリンとOscar-FcRγからなる複合体がITAMシグナルを惹起し,破骨細胞形成を補っていることを示した.しかし,Dap12とβ3ダブルKOマウスでは,Oscar-FcRγからのITAMシグナルを惹起できないため,破骨細胞分化が著しく障害されることが示された.つまり,Dap12がない状態ではFcRγ からのITAMシグナルの活性化にαvβ3インテグリンが重要であることを示している.

推薦者コメント

本論文は,ITAMシグナルに関してβ3インテグリンの新たな役割を提示しており,非常に興味深い.しかし,β3インテグリン単独KOマウスは重篤な骨大理石病を呈さないことから,ITAMシグナルの活性化にβ3インテグリンが必須ではないと思われる.今後,β3インテグリンがない状況で,ITAMシグナルを活性化する分子機構の解明が期待される.(松本歯科大学総合歯科医学研究所硬組織機能解析学・小林 泰浩)