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破骨前駆細胞の1サブセットが分泌するPDGF-BBは骨形成と連関した血管新生を誘導する

PDGF-BB secreted by preosteoclasts induces angiogenesis during coupling with osteogenesis.
著者:Hui Xie, Zhuang Cui, Long Wang, et al:
雑誌:Nat Med 20(11) : 1270-1278, 2014

論文サマリー

外骨膜に存在する破骨前駆細胞(ほとんどが単核のTRAP陽性細胞である一群)は、PDGF-BBを発現し間葉系幹細胞や血管内皮前駆細胞の遊走、血管新生やCD31hiEmcnhi細胞への分化を促進し、骨芽細胞の分化、骨形成、モデリングやリモデリングを正に制御していることが示された。さらにカテプシンKがPDGF-BBの分泌を抑制することから、その阻害薬は破骨細胞による骨吸収の抑制と、PDGF-BBの増加による血管新生、骨形成促進作用を介した骨量増加作用を有することが示唆された。

推薦者コメント

カテプシンK阻害薬は、ビスホスホネートなどの他の骨吸収抑制薬でみられる骨吸収低下に伴った骨形成の低下は報告されていないが、本研究から破骨細胞系細胞由来のPDGF-BBによる血管新生促進を介した骨形成促進作用が関与している可能性が示唆された。(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学・中村 春彦・林 幹人)