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破骨細胞前駆細胞由来のPDGF-BBは骨形成を促進するカップリングファクターである

PDGF-BB secreted by preosteoclasts induces angiogenesis during coupling with osteogenesis
著者:Xie H, Cui Z, Wang L, Xia Z, Hu Y, Xian L, Li C, Xie L, Crane J, Wan M, Zhen G, Bian Q, Yu B, Chang W, Qiu T, Pickarski M, Duong le T, Windle JJ, Luo X, Liao E, Cao X.
雑誌:Nat Med 20:1270-1208, 2014
  • 骨カップリング因子
  • 破骨細胞
  • カテプシンK

論文サマリー

破骨細胞が形成されない大理石骨病マウス(CSF-1欠損マウス)において、TRAP陽性単核の破骨細胞前駆細胞が皮質骨骨膜において加齢と共に減少する。この破骨細胞前駆細胞の減少とパラレルに、骨形成と血管形成が低下する。マウスの細胞培養系を用いた実験から、破骨細胞前駆細胞は、PDGF-BBを産生し、間葉系幹細胞と血管内皮細胞前駆細胞を引き寄せることが明らかとなった。さらに、PDGF-BBを破骨細胞前駆細胞に欠損させたマウスを作製すると、骨形成及び血管形成が低下した。既に、カテプシンK産生を抑制すると、破骨細胞前駆細胞数が増加するとの報告があるので、カテプシンK欠損マウスとカテプシンK阻害薬を投与した状態で、PDGF-BBの発現が上昇するかどうかを解析した。その結果、カテプシンKの抑制は、TRAP陽性の破骨細胞前駆細胞におけるPDGF-BBとVEGFの発現を上昇させ、骨形成及び血管形成を促進した。また、Pdgfb欠損マウスでは、カテプシンK阻害薬による骨形成と血管形成促進作用は認められなかった。さらに、卵巣摘出マウスへPDGF-BBを投与する実験を行った結果、血中及び骨髄中のPDGF-BBが減少するが、カテプシンK阻害剤の投与によって骨形成と血管形成は促進された。

推薦者コメント

骨形成を促進する活性を有するPDGF-BBが、破骨細胞由来のサイトカインとし骨形成と血管形成を促進する実験結果が得られた。PDGF-BBが、破骨細胞由来の骨のカップリングファクターである可能性を示した論文として興味深い。また、カテプシンK阻害剤の骨粗鬆症治療薬としての作用メカニズムを解明する上でも貴重な結果であろう。(松本歯科大学生化学・宇田川 信之)