骨細胞特異的FGF受容体1欠失はFGF23産生を抑制する
Osteocyte-specific deletion of Fgfr1 suppresses FGF23.
著者: | Xiao Z et al. |
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雑誌: | PLOS ONE 9(8):e104154,2014 |
- FGF23
- くる病
- 低リン血症
論文サマリー
X染色体優性低リン血症(X-linked hypophosphatemia: XLH)は、遺伝性低リン血症性くる病の中で最も頻度の高い疾患であり、過剰なFGF23活性により惹起される。XLHのモデルマウスであるHypでは、骨でのFgf23過剰産生が示されている。FGF受容体(FGFR)1をコードする遺伝子の活性型変異によるosteoglophonic dysplasiaでは高FGF23血症、低リン血症が認められることなどから、骨でのFGF23産生にFGFRを介するシグナルが関与するものと考えられてきた。本検討では、Dmp1-creを用いたHypマウス骨細胞でのFgfr1欠失が、骨でのFgf23発現や血中Fgf23濃度を低下させ、低リン血症やくる病所見を改善することが示された。
推薦者コメント
本検討では、Hypの骨におけるFgf2の発現亢進も示されている。従って骨でのオートクライン/パラクライン作用によるFGFRの活性化が、FGF23過剰産生を惹起するものと考えられる。ただし、XLHの原因遺伝子であるphosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome (PHEX)とFGFRを介するシグナルの関連は不明である。(東京大学・福本 誠二)