急性骨髄性白血病は交感神経ニューロパチーを惹起することで骨髄ニッチを変化させ病勢進展する
Acute myelogenous leukemia-induced sympathetic neuropathy promotes malignancy in an altered hematopoietic stem cell niche.
著者: | Maher Hanoun et al. |
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雑誌: | Cell Stem Cell (published on line), 2014. |
- 白血病
- ニッチ
- 神経障害
論文サマリー
正常造血幹細胞ニッチの一つとして nestin+間葉系幹細胞(MSC)が知られており、これが交感神経支配をうけていることも報告されている。一方急性骨髄性白血病が同様のニッチ機構を用いて生存、病勢進展しているかどうかは各種議論のあるところである。本研究では、急性骨髄性白血病細胞により浸潤部の骨髄交感神経支配の低下が惹起され、それによりnestin+MSCの幹細胞性が低下しβ3よりもβ2アドレナリン受容体シグナル有意になり骨芽細胞系列へのコミットが起こると同時に、成熟骨芽細胞への最終分化は抑制されており骨密度の低下を招く事が示されている。これらが白血病細胞の更なる進展に好都合な環境であると考えられる。
推薦者コメント
正常造血幹細胞と白血病細胞が完全に同じニッチを用いているわけではないということ、その違いをもたらすのが骨髄神経障害であることを示した画期的な研究である。世界的な研究の流れとして、白血病細胞が自分に都合のいい環境を作ることを示す研究が蓄積されてきており、ニッチ側を狙った新たな白血病治療戦略を考える上で非常に重要である。(神戸大学医学部附属病院血液内科・片山 義雄)