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miR-34aは破骨細胞分化とTgif2の抑制を介して骨粗鬆症と腫瘍の骨転移をブロックする

miR-34a blocks osteoporosis and bone metastasis by inhibiting osteoclastogenesis and Tgif2
著者:Krzeszinski JY et al,
雑誌:Nature. 2014
  • 骨粗鬆症
  • 破骨細胞
  • miRNA

論文サマリー

microRNA (miR)は様々な生理的な役割のみならず、病的な意義も明らかにされてきており、新たな疾患克服のための治療標的として注目されている。しかしながら、通常多くの標的遺伝子を有するmiRにおいては、治療標的とするのに十分なメカニズムの解明や副作用の評価に課題があった。今回、破骨細胞分化過程で発現が抑制されるmiR-34aはほぼ特異的に破骨細胞に作用しその分化を抑制すること、標的分子もtransforming growth factor-β-induced factor 2 (Tgif2)のみでその作用が説明できることが示されるなど特殊なものであり、またchitosan nanoparticleによるmiR-34aの静注投与でOVX骨粗鬆症や骨への腫瘍転移がブロックされることが見いだされた。

推薦者コメント

今回miR-34aで示された臨床的な意義はビスホスホネートやDenosumabなど、すでに臨床で使用されている破骨細胞抑制系の薬剤で実証されているものであり、miR-34a投与によりむしろ骨芽細胞機能は上昇することが示されているとはいえ、本質的には破骨細胞を抑制するものである以上、本成果の臨床応用への道は簡単ではないと言えるだろう。ただ、miRの疾患治療標的としての有用性を示し得た点で評価される論文であり、このように標的分子が単独で説明され、ノックアウトやトランスジェニックで生理的な役割もきれいに示されるmiRはまだ特殊である現状なので、この先に同様なmiRが登場することが期待される成果であった。(慶應義塾大学・宮本 健史)