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フーリエ変換赤外分光光度測定(FTIR)による1660/1900cm-1比は,骨コラーゲン架橋比を正確に示していない

The Ratio 1660/1690 cm-1 Measured by Infrared, Microspectroscopy Is Not Specific of Enzymatic Collagen, Cross-Links in Bone Tissue
著者:Farlay D et al.
雑誌:PLoS One. 2011;6(12):e28736.
  • bone quality
  • FTIR

論文サマリー

フーリエ変換赤外分光光度測定(Fourier Transform InfraRed Imaging; FTIRI)は,骨のコラーゲンの成熟度を未熟架橋(dihydroxylysinonorleucine; DHLNL)と成熟架橋(pyridinoline)の比として評価する手法として汎用されてきた.しかし,これまで,FTIRで測定した骨コラーゲン架橋の成熟度が,本当にPYD/DHLNL比となっているのかの検証は不十分であった.著者らは,コラーゲン架橋形成阻害剤を投与したラット骨を用いて,架橋の正確な定量を可能とする高速液クロマトグラフィー(HPLC)によるDHLNLおよびPYDの測定値と,FTIRで測定したDHLNL/PYD比を比較した.その結果,架橋阻害剤投与により,PYD架橋量は著しく低形成となったのにも関わらずFTIRの架橋比はそれを反映していなかった.このことからFTIRで従来報告されてきたコラーゲン架橋比(PYD/DHLNL比)は,架橋比をみているのではないと結論つけている.(東京慈恵会医科大学 整形外科 斎藤 充)