日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

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骨モデリング期においてコラーゲン細線維の集束は骨細胞ネットワーク形成に関与する

Bundling of collagen fibrils influences osteocyte network formation during bone modelling
著者: Hashimoto M, Takahashi H, Tabata-Okubo K, Nagaoka N, Tokunaga K, Matsumori H, Ishihara Y, Kaku M, Iimura T, Hara T, Kamioka H.
雑誌: Sci Rep. 2023 Dec 12:13(1):22028. doi: 10.1038/s41598-023-48786-y.
  • 骨細胞
  • コラーゲン線維
  • FIB-SEM

橋本 真奈
診療室にて(左から)田畑、髙橋、橋本、上岡教授

論文サマリー

骨細胞は自ら伸ばした細く長い細胞突起同士がギャップ結合することで細胞性ネットワークを形成しており、このネットワークを介した細胞間コミュニケーションは骨代謝において重要な役割を担っている。リモデリング期においてはメカニカルストレスが付与されることで、骨細胞ネットワークが規則的になることが示されているが(Sugawara Y et al. Bone 2013)、モデリング期における骨細胞ネットワークの形成に何が関与しているのかは不明である。今回我々はモデリング期における骨細胞ネットワーク形成にコラーゲン細線維の集束が関与しているのではないかと考え、両者の関係の解明を試みた。

まず胎生16日齢ニワトリ胚頭蓋骨の新生骨における1辺25μmの立方体領域を直交配置型FIB-SEMで三次元観察したところ、骨細胞突起は集束したコラーゲン細線維を避けるように伸びていた。続いて、ニワトリ胚にコラーゲン線維の架橋阻害剤であるβ-Aminopropionitrile (BAPN)を投与し、コラーゲン細線維の集束を抑制した場合の骨細胞の形態計測を行うこととした。なお、BAPN投与が骨細胞の生存率や、単位面積あたりの骨細胞数および密度に影響を及ぼさないこと、また多光子励起顕微鏡によるSecond Harmonic Generation観察を行い、BAPN投与により有意にコラーゲン細線維の集束が阻害されることを確認した。骨細胞の形態計測の結果、対照群の骨細胞は紡錘形で、細胞突起は細胞長軸に対して垂直に伸びているのに対し、BAPN群の骨細胞は円形で、細胞突起は放射状に伸びていた。以上のことから、モデリング期の骨組織において、コラーゲン細線維の集束が骨細胞ネットワーク形成に影響を及ぼしている可能性が示唆された。

骨細胞が成熟する過程で、その形態は円形から紡錘形へと変化することが知られており、またこの形態変化はギャップ結合を介した細胞間コミュニケーション能力とも関係している(Wang Z et al. Bone 2016)。今後はコラーゲン細線維の集束阻害時における骨細胞機能の変化を観察することで、コラーゲン線維と骨細胞ネットワークの関係をより深く検討していきたい。

橋本真奈
図1:Aは直交配置型FIB-SEMで撮影した骨組織のSEM画像を、BはSEM画像から抽出した骨細胞(ピンク色)とコラーゲン細線維(水色)の立体構築像を示す。

橋本真奈

橋本真奈
図2:細胞の共焦点レーザー顕微鏡画像と形態計測結果。A、C(A白枠の拡大図)は対照群を示し、B、D(B白枠の拡大図)はBAPN群を示す。

著者コメント

骨組織を捉える上で、基質成分であるコラーゲン線維と細胞の関連解明は不可欠であると考えています。近年はさまざまな顕微鏡や解析ソフトの発展により、微細な形態変化を三次元解析することが可能となっており、本研究においても直交配置型FIB-SEMで取得した連続SEM像の解析に端を発し、モデリング期における骨細胞ネットワークとコラーゲン線維の関連の一端を明らかにすることができました。

本研究はデータ取得から時間はかかりましたが、共同著者の先生方や、NIMS中村晶子様、原由佳様、株式会社マックスネット上村逸郎様のお力添えによりまとめることができ、大変感謝しております。また、岡山大学矯正歯科の先生方にもこの場を借りて御礼申し上げます。

今後もリサーチマインドを持って、日々精進して参りたいと思います。

(岡山大学学術研究院医歯薬学域 歯科矯正学分野 橋本真奈)