日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

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CCR5を介した細胞中心体のクラスタリングが破骨細胞の骨吸収機能を調節する。

Centrosome clustering control in osteoclasts through CCR5-mediated signaling.
著者: Lee JW, Lee IH, Watanabe H, Liu Y, Sawada K, Maekawa M, Uehara S, Kobayashi Y, Imai Y, Kong SW, Iimura T.
雑誌: Sci Rep. 2023 Nov 27;13(1):20813. doi: 10.1038/s41598-023-48140-2.
  • 中心体(Centrosome)
  • ケモカイン受容体(CCR5)
  • 破骨細胞

李 智媛

論文サマリー

動物細胞における中心体と呼ばれる構造は、Matthews et. al.(1967)によって破骨細胞において発見されて以来、その機能についてはほとんど知られていない。 我々の研究は、破骨細胞の中心体クラスタリング形成がリソソーム輸送機能と細胞極性の維持に不可欠であること、それらがCCR5を介したシグナル伝達によって調節されることを発見した。

抗HIV薬であるCCR5 阻害薬(Maraviroc)を服用したHIV患者において骨密度低下の抵抗性を示すことが証明されているが、これらの効果に関連した詳細な分子レベルのメカニズムはまだ知られていない。 我々の以前の研究では、Ccr5遺伝子欠損マウスを用いてCCR5の機能を抑制することで破骨細胞の骨吸収能が低下され、骨化石症の表現型を示すことを証明した(Lee et. al ., 2017)。 今回の研究により、Ccr5欠乏破骨細胞の骨吸収機能障害は微小管ネットワークの喪失と核クラスタリングの失敗により生じる表現型であることを明らかにした。これらの原因によりリソソームの輸送に障害が生じ、リソソームが細胞の周辺に残存すること、さらに細胞の極性を失うことで、Cathepsin Kなどリソソームの分泌に障害を起き起こすことを証明した。

また、その下流のシグナルであるSmall GTPase RhoとRacを強制発現させることで、Cathepsin Kの分泌が回復し、これらの細胞骨格表現型がレスキューされることを確認した。網羅的遺伝子分析により、破骨細胞におけるリソソームの輸送を調節する大理石骨病の原因遺伝子PLEKHM1がCCR5によって調節されていることが同定された。

これらの実験結果から、CCR5媒介シグナル伝達が、破骨細胞の中心体クラスタリング形成及び機能維持に重要なオーガナイザーとして機能することが示唆された。

李 智媛

李 智媛

著者コメント

この論文が完成するまで、多大なご協力を賜りました共同研究者の先生方、心より感謝申し上げます。

(北海道大学大学院歯学研究科口腔病態学分野講座微生物学教室・李 智媛)