日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

JP / EN
入会・変更手続
The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

1st Author

TOP > 1st Author > 萩野 浩

尿中ペントシジン濃度は地域在住高齢者の骨折リスクと関連する:前向き観察研究

Urinary pentosidine level is associated with the risk of fracture in community-dwelling older adults: a prospective observational study.
著者: Hagino H, Moriwaki K, Wada T, Osaki M, Nagashima H, Matsumoto H.
雑誌: Osteoporos Int. 2023 Jun 8. doi: 10.1007/s00198-023-06816-5. Online ahead of print. PMID: 37291359
  • 骨質
  • 終末糖化産物(AGE)
  • 骨粗鬆症

萩野 浩
GAINA研究に参加したスタッフ

論文サマリー

骨質の変化による骨の脆弱化は、組織の糖化を介して進行するコラーゲンおよびコラーゲン架橋の障害によって引き起こされることが明らかになっています。組織の糖化を検出するバイオマーカーとしては、ペントシジン、カルボキシメチルリジン、ホモシステインなどが知られていますが、このうちペントシジンは分子間架橋した高度糖化最終生成物(AGE)として確立されています。さらに、酵素的ではなく非酵素的にコラーゲン線維内に生成されるペントシジン架橋の蓄積は、非石灰化骨基質の力学的特性を損なうと考えられています。そこで私たちは一般在宅高齢者を対象に、前向き観察研究を計画し、ペントシジンと骨折リスクの関連性を検討しました。

方法: 2016年に実施したGood Aging and Intervention Against Nursing Care and Activity Decline(GAINA)研究に参加者した254名の高齢者を本研究の対象としました。握力、筋肉量、歩行速度、踵骨骨密度、副甲状腺ホルモン、オステオカルシン、25-ヒドロキシビタミンD、総プロコラーゲンタイプI N末端プロペプチド、インスリン様成長因子-1(IGF-1)、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ-5b、尿中ペントシジンの値をベースライン時に測定しました。5年間にわたって追跡し、追跡期間中に収集された自己申告データに基づいて、骨折(+)と骨折(-)に分類しました。

結果:観察期間中に追跡不能となった患者を除き、182例(男性64例、女性118例、平均年齢74.2歳、範囲47~99歳)が解析対象となりました。観察期間中、23人の患者で24の新規骨折が観察されました。単変量解析では、性別、身長、体重、成人期の骨折歴、ベースライン時の握力、筋肉量、骨密度、尿中ペントシジン、IGF-1濃度で、骨折(+)と骨折(-)で有意な差を認めました。多変量解析の結果、成人期の骨折歴と尿中ペントシジン濃度が、独立して骨折発生と有意に関連し、尿中ペントシジン濃度が高いほど骨折リスクが高いことが明らかとなりました。

著者コメント

これまで骨粗鬆症患者を対象とした、いくつかの研究で、ペントシジンが骨折リスクと関連することが明らかとなっています。しかしながら、わが国で一般在宅高齢者を対象とした研究はありませんでした。本研究は一般在宅高齢者においてもペントシジンが骨折リスクと関連することをはじめて明らかとしました。

GAINA研究は鳥取県日野町で実施した5年間にわたる運動器検診(ロコモ検診)です。検診終了後も5年間にわたって追跡調査を実施し、この論文はそのデータの解析結果です。この研究に参加いただきました鳥取大学医学部、附属病院の皆様に感謝申し上げます。

萩野 浩
骨代謝研究に参加してくれたメンバー 真ん中の顔が2nd authorのDr. Moriwaki K

(鳥取大学医学部保健学科基礎看護学講座・萩野 浩)