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高齢者大腿骨近位部骨折発生に関連する10因子と機械学習を活用したスコアリングシステム

A machine learning-based scoring system and ten factors associated with hip fracture occurrence in the elderly
著者:Masaru Uragami, Kozo Matsushita, Yuto Shibata, Shu Takata, Tatsuki Karasugi, Takanao Sueyoshi, Tetsuro Masuda, Takayuki Nakamura, Takuya Tokunaga, Satoshi Hisanaga, Masaki Yugami, Kazuki Sugimoto, Ryuji Yonemitsu, Katsumasa Ideo, Yuko Fukuma, Kosei Takata, Takahiro Arima, Jyunki Kawakami, Kazuya Maeda, Naoto Yoshimura, Hideto Matsunaga, Yuki Kai, Shuntaro Tanimura, Masaki Shimada, Makoto Tateyama, Kana Miyamoto, Ryuta Kubo, Rui Tajiri, Xiao Tian, Fuka Homma, Jun Morinaga, Yoshinori Yamanouchi, Minoru Takebayashi, Naoto Kajitani, , Yusuke Uehara, Kumamoto Stop OsteoPorotic hip fractures (K-STOP) group and Takeshi Miyamoto
雑誌:Bone
  • 大腿骨近位部骨折
  • 関連因子
  • 骨折予測ツール

浦上 勝

論文サマリー

【目的】 大腿骨近位部骨折は、80歳以上の高齢者に特に多い脆弱性骨折である。これまで骨密度の低下を含むさまざまな要因が大腿骨近位部骨折のリスクとされてきたが、80歳以上の高齢者においてその関連性を確認した大規模な研究はほとんどなかった。そこで、本研究では、平均80歳以上の高齢者を対象に既存の研究で報告された様々なリスク因子とその大腿骨近位部骨折との関連性を包括的に評価し、特に重要な因子の抽出とリスク評価ツール作成を目的とした。

【方法】 熊本大学を含む23の協力機関に入院した新規の大腿骨近位部骨折患者1395人を症例群、同じ協力機関で加療中の大腿骨近位部骨折の既往のない患者と第2回the Japan Prospective Studies Collaboration for Aging and Dementia研究の参加者を対照群(1075人)とした症例対照研究を行った。情報は、各施設で、アンケート調査、画像検査等を行い、大腿骨近位部骨折と転倒に関連する40のリスク因子について収集した。解析対象者は、参加者のうち、年齢と性別でマッチング(症例群1:対照群1)を行い、マッチした1208人(平均年齢81.7歳)とした。まず、機械学習アルゴリズムであるextreme gradient boosting(XGBoost)の予測モデルを構築し、shapley additive explanation(SHAP)値を使用して特徴量重要度を評価した。そして、特徴量重要度の高い順に重要因子を抽出し、さらにSHAP値を使って、各変数のカットオフ値とスコアを決定し、スコアリングシステムを作成した。最後に、症例群と対照群を弁別するカットオフ値をreceiver operating characteristic(ROC)解析で求めた。

【結果】重要な因子のカットオフ値とスコアは血清25(OH)ビタミンD値(<10 ng/ml、スコア7)、大腿骨頚部Tスコア(<-3、スコア5)、Barthel index(<100、スコア3)、最大握力(<18 kg、スコア3)、ロコモ25(≥24、スコア2)、過去12か月間の転倒回数(≥3、スコア2)、血清IGF-1値(<50 ng/ml、スコア2)、1日の喫茶回数(≥5杯、スコア-2)、骨粗鬆症治療薬の使用(はい、スコア-2)、およびBMI(<18.5 kg/m2、スコア1)であった。ROC解析の結果、スコアリングシステムの精度はAUC 0.85、カットオフ値は7、特異度0.78、感度0.75であった。

著者コメント

 大腿骨近位部骨折の骨折予測ツールは現在FRAXが最も使用されています。しかしながら、FRAXを構成するリスク因子(骨密度やBMIなど)は年齢とともに予測能が低下し、比較的若い高齢者と80歳以上の高齢者ではリスク因子が異なると言われています。本研究では、平均80歳以上の高齢者の中で、FRAXを含む40のリスク因子候補を比較検討し、特に重要な因子10個を抽出しました。その結果、骨密度やBMIは変わらず重要な因子ですが、25(OH)ビタミンDや転倒回数、ロコモ25など転倒に関連するリスク因子も重要であることが分かりました。そのため、80歳以上の高齢者の骨折リスクを検討する際、骨と転倒に関連するリスク因子の両方を総合的に評価することが必要と考えています。本研究は、熊本大学整形外科関連施設と熊本大学神経精神科の御協力により得られたデータを集計し、解析を行いました。御協力を頂きました多くの皆様に改めて御礼申し上げます。(熊本大学・浦上 勝)