閉経後骨粗鬆症患者におけるロモソズマブ投与後の逐次療法 : VICTOR試験~イバンドロネートvsデノスマブ~
著者: | Tomonori Kobayakawa, Akiko Miyazaki, Jun Takahashi, Yukio Nakamura |
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雑誌: | Bone. 2022 Jul 1:116480. doi: 10.1016/j.bone.2022 |
- ロモソズマブ
- 骨粗鬆症
- 逐次療法
論文サマリー
ロモソズマブ(Romo)は、骨細胞から分泌されるスクレロスチンに対するモノクローナル抗体であり、Wntシグナル伝達の抑制を阻害する事で骨形成促進作用と骨吸収抑制作用を有し、既存治療薬にはない、新たな作用機序の治療薬として期待されている。しかしながら、投与期間が12か月と決まっており、その後の逐次療法についてのreal-world dataはまだ世界的にも少ない。ロモソズマブの投与が終了すると、当然再度骨細胞からスクレロスチンが分泌され、骨吸収が亢進し骨密度が低下してしまう。よって、Romo投与終了後も他の骨粗鬆症薬による治療継続が必要である。そこで、本研究は、Romoを12か月間投与後の次の薬剤として、イバンドロネート(Iba)、または、デノスマブ(Dmab)への切り替え、この2群にわけて、骨密度の上昇効果や安全性を調査した。
Romoを12か月間投与後、無作為割り付けにて登録された124例の骨粗鬆症患者を対象とした。研究デザインは、介入研究として、ランダム化無作為割り付けにてIbaかDmabのどちらかの薬剤を選択した。Romo開始時(0M)、Romo終了時(12M)、逐次療法後(24M)のBMDと骨代謝マーカー変化率を検討した。また、サブ解析として、Romo前治療薬別に逐次療法の効果も検討した。
結果
[1] Romo後の逐次療法としては、Iba群もDmab群も有意に腰椎、大腿骨、頚部のBMDを上昇した。
[2] 逐次療法(12-24カ月)として、腰椎BMDは、Dmab群の方がIba群より有意にBMDが上昇した。
[3] Romo使用前に骨粗鬆症治療歴がない場合、腰椎、頚部BMDにおいて、Romo後の逐次療法では、Dmabの方がIba群よりBMD上昇率が大きかった。
本研究により、Romoの逐次療法としては、IbaでもDmabでも有効である事がわかった。また腰椎BMDに関しては、特にDmab群の方が高い骨密度上昇効果を示したため、Romo終了後の腰椎BMDが低い場合にはDmabを使用した方が、より高い骨密度上昇効果が期待できる。
著者コメント
共同演者である、中村幸男先生とは、数年前の骨粗鬆症学会で出会い、骨粗鬆症に対する思いが合致して、意気投合し、医局の垣根を越えて共同研究が始まりました。特にロモソズマブは世界に先駆けて日本で発売された薬剤です。これからも臨床に役立つ研究を日本、世界へどんどん発信していきたいと思います。(小早川整形リウマチクリニック・内分泌内科・小早川 知範)