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変異型亜鉛トランスポーターZIP13の病原性分子メカニズムの解明

Molecular pathogenic basis of Spondylocheirodysplastic Ehlers-Danlos syndrome caused by mutant ZIP13 proteins
著者:Bum-Ho Bin*, Shintaro Hojyo*, Toshiaki Hosaka, Jinhyuk Bhin, Hiroki Kano, Tomohiro Miyai, Mariko Ikeda, Tomomi Kimura-Someya, Mikako Shirouzu, Eun-Gyung Cho, Kazuhisa Fukue, Taiho Kambe, Wakana Ohashi, Kyu-Han Kim, Juyeon Seo, Dong-Hwa Choi, Yeon-Ju Nam, Daehee Hwang, Ayako Fukunaka, Yoshio Fujitani, Shigeyuki Yokoyama, Andrea Superti-Furga, Shiro Ikegawa, Tae Ryong Lee and Toshiyuki Fukada
*は筆頭共著者
雑誌:EMBO Molecular Medicine (2014, 6: 1028-1042)
  • 亜鉛トランスポーターZIP13
  • 病原性変異体
  • 骨形成異常

深田 俊幸
写真上段:賓範浩(左)と深田俊幸(右)、写真下段:北條慎太郎(右)と深田俊幸(左)

論文サマリー

 亜鉛は生命活動に必須の微量元素であり、その欠乏は成長遅延や骨粗鬆症を引き起こす。亜鉛の恒常性は亜鉛トランスポーターによって制御されており、最近の研究から亜鉛イオンがシグナル因子:亜鉛シグナルとして作用して、その異常が様々な疾患に関連していることが解明されつつある。筆者らは、亜鉛トランスポーターZIP13の遺伝子欠損マウスの表現型(骨密度低下・骨軟骨形成異常・歯牙形成不全・結合組織の脆弱化)と相関を示す病気(新規エーラス・ダンロス症候群:Spondylocheirodysplastic Ehlers-Danlos syndrome (SCD-EDS))を見出し、当該患者のファミリー間で保存されているアミノ酸点変異を同定した (Fukada et al. PLoS ONE, 2008)。他のグループからも異なる病原性変異型ZIP13(3アミノ酸欠失変異)が報告されたが (Guinta et al. Am. J. Hum. Genet., 2008)、これらの変異がなぜ病気をもたらすのかその機序は不明であった。本論文は、生化学および分子生物学的手法でこの問題に挑んだものである。
 まず、上記の変異型ZIP13をそれぞれコードする発現プラスミドを細胞に導入して、ZIP13 mRNAとタンパク質の発現状況を調べた。その結果、変異型ZIP13 mRNAの発現量は野生型の場合と差は認められなかったが、変異型ZIP13成熟タンパク質の発現量は著明に減少していた。次に、野生型および変異型ZIP13発現細胞における細胞内亜鉛量を比較したところ、変異型ZIP13を導入した細胞では細胞内亜鉛量が顕著に減少していた。変異型ZIP13タンパク質の減少や細胞内亜鉛の恒常性の変化がタンパク質分解の亢進に起因するものか検討するために、プロテオソームやリソソーム分解系阻害剤を用いて変異型ZIP13タンパク質の量的変動を調べた。その結果、臨床的に使用されているボルテゾミブを初めとするプロテオソーム系阻害剤の処理によって、変異型ZIP13タンパク質と細胞内亜鉛量の回復が認められた。同様の結果は、変異型ZIP13を保持するSCD-EDS患者由来の細胞を用いた実験でも確認された。すなわち、SCD-EDSの発症はアミノ酸変異に起因するZIP13タンパク質の不安定化およびプロテオソーム系による分解を通して細胞内亜鉛の恒常性が破綻することによって引き起こされる可能性が強く示唆された。本論文は、難病であるSCD-EDSの理解と治療法の確立への貢献が期待される成果であり、今後は「変異型ZIP13がどの程度の亜鉛透過能を保持しているのか」、さらに「どのようなアプローチがSCD-EDSの根治療法になるのか」について研究を進めて行きたいと考えている。(昭和大学・理化学研究所・深田 俊幸)

深田 俊幸
変異型ZIP13タンパク質(点変異とアミノ酸欠失変異)は、VCP-ユビキチン-プロテオソーム系で分解される。

筆頭著者コメント

 今回の成果は多くの研究者との共同研究によって完成しました。当初は研究方針や競合者の動向にとても不安を抱きましたが、異分野融合による国際的な共同研究によって重厚な論文に仕上がりましたことを誇りに思います。この論文が示すような「亜鉛シグナルとその異常がもたらす疾患の究明」は新しい研究領域であり、今後もこのような研究を通して生命科学の理解に貢献していきたい所存です。共著者の皆様、および本研究を通して自己研鑽の機会を頂きました深田俊幸先生(昭和大学・理化学研究所)と李泰龍博士(Amorepacific)に、本紙面をお借りして心から感謝申し上げます。
Bioscience Research Institute, Amorepacific Corporation R&D Center 上席研究員,昭和大学歯学部口腔病態診断科学講座口腔病理学部門 兼任講師・賓 範浩
ドイツリウマチ疾患研究センター 博士研究員,理化学研究所 統合生命医科学研究センター 客員研究員・北條 慎太郎

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