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運動刺激は関節軟骨でCREB依存性、Fluid Flow Shear Stress誘発性シグナル経路を介してPrg4の発現を促進する

Mechanical motion promotes expression of Prg4 in articular cartilage via multiple CREB-dependent, fluid flow shear stress-induced signaling pathways.
著者:Ogawa H, Kozhemyakina E, Hung HH, Grodzinsky AJ, Lassar AB.
雑誌:Genes Dev. 2014;28(2):127-39.
  • メカニカルストレス
  • 軟骨細胞
  • ルブリシン/Prg4

小川 寛恭

論文サマリー

運動刺激が軟骨代謝制御において重要な役割を果たしている事が明らかになってきている。ルブリシンはPrg4遺伝子にコードされる関節軟骨表層細胞や滑膜細胞から分泌されるプロテオグリカンで、関節軟骨表面の摩擦低減及び保護作用を有し、運動刺激によってその発現が上昇する事が知られている。 軟骨特異的にルブリシンを過剰発現させたマウスは外科的変形性関節症モデルで軟骨変性に抵抗性を示すことから、ルブリシンは軟骨変性を導くシグナル経路を抑制すると考えられる。一方、変形性関節症を自然発症する2型コラーゲン遺伝子改変マウスは自発走行させる(運動刺激を与える)と軟骨変性が抑制されることが報告されている。ルブリシンの運動刺激による発現上昇、ルブリシンの軟骨変性抑制作用、自発走行による変形性関節症抑制作用を総合的に判断すると、自発走行により関節軟骨でルブリシンの発現が上昇し軟骨変性が抑制されると推察されるが詳細は不明である。本研究では、運動刺激が関節軟骨/軟骨細胞で遺伝子発現(ルブリシン)を制御するシグナル経路を初めて明らかにした。まず生体内で運動刺激によるPrg4の発現変化を観察するためPrg4発現下にレポーター(beta-galactosidase)を発現するマウスを作製した。このマウスを自発走行させると関節軟骨でレポーター(Prg4)の発現は有意に上昇した。

小川 寛恭

細胞実験では、運動刺激モデルとしてマウス初代軟骨細胞にFluid Flow Shear Stress (FFSS)を与えるとPrg4の発現を有意に上昇し、この上昇はFFSSによるPGE2、PTHrP、ATPの細胞外への分泌増加とこれら分子のオートクライン/パラクライン効果によるものであることを明らかとした。PGE2/PTHrPはEP2受容体/PTH受容体—Gs-cAMP-PKAシグナル経路を介して、ATPはP2X7受容体/P2Y2受容体—Ca++-CRTC1シグナル経路を介してCREBを活性化する事でPrg4の発現を上昇させていた。本研究では、関節軟骨/軟骨細胞において運動刺激が軟骨保護作用を有するルブリシンンの発現を制御するシグナル経路を明らかとしたが、このシグナル経路に関わる分子を標的とするような新たな変形性関節症に対する治療薬/運動療法の開発が期待される。

著者コメント

私は変形性関節症の病態解明に取り組んでいますが、過剰な運動刺激は同疾患の原因の一つと考えられています。生理的な運動刺激は軟骨代謝を正常に制御していますが、過剰な運動刺激はこれを病的に制御する事で軟骨変性を引き起こすと考えられます。本研究では、まずは生理的な運刺激による遺伝子発現メカニズムの一端を明らかにする事ができたと思います。今後、運動刺激による軟骨代謝制御機構を更に明らかにして行き、過剰な運動刺激がどのように軟骨変性を引き起こすのかを明らかにして行きたいと考えています。(岐阜大学医学系研究科病態制御学講座整形外科学・小川 寛恭)

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