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骨芽細胞特異的膜タンパク質IFIM5の特性とIFIM5欠損マウスの解析

Characterization of the osteoblast-specific transmembrane protein IFITM5 and analysis of IFITM5-deficient mice.
著者:Hanagata N., Li X., Morita H., Takemura T., Li J., Minowa T.
雑誌:J. Bone Miner. Metab. 2011, 29:279-290.
  • IFITM5
  • 骨芽細胞
  • 石灰化

花方 信孝

論文サマリー

IFITM5 (interferon-induced transmembrane protein 5)は、IFITM familyのメンバーである。IFITM familyの他のメンバーであるIFITM1、IFITM2、IFITM3は、始原生殖細胞の分化に関与することが報告されていた(現在では、この機能は否定され、IFITM1, 2, 3はウイルス感染に対する防御機能に関与していることが2011年以降に報告されている)。しかし、IFITM5は、他のメンバーとの相同性が低く、その機能は長らく不明であった。IFITM5は、マウスでは134アミノ酸残基、ヒトでは132アミノ酸残基からなり、N末端とC末端が細胞外に突出した2回膜貫通タンパク質であると考えられていた(しかし、膜貫通領域は1カ所で、N末端が細胞質側、C末端が細胞外にあることが2014年に発表された)。我々は、マウス骨芽細胞様MC3T3細胞のDNAマイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析によって、IFITM5が骨芽細胞の石灰化期に誘導されることを2007年に見出した。本研究では、IFITM5の骨形成における役割を検討した。

IFITM5は、骨芽細胞の培養において、石灰化初期から誘導された。その誘導はBMP-2で促進され、IL-1αでは抑制された。また、マウス胎児におけるin situ hybridizationから、IFITM5の発現は、E14.5以降の骨組織でのみ観察され、軟骨を含む他の組織での発現は認められない骨芽細胞特異的な膜タンパク質であることが示唆された。IFITM5のアミノ酸配列にシグナル伝達に関与するモチーフやリン酸化部位が見つからなかったことから、シグナル伝達を仲介する分子があると考えた。IFITM5のpull-downを行い、相互作用するタンパク質の探索を液体クロマトグラフィー質量分析機で行った結果、FKBP11がその候補として見出された。さらに、IFITM5のFKBP11との相互作用領域を同定した。しかし、FKBP11もシグナル伝達に関与する直接的な分子ではないため、より複雑な機構が働いていると考えられた (その後、FKBP11とtetraspaninのいくつかの分子が相互作用することを報告した)。

In vitroでの結果は、IFITM5が骨芽細胞特異的で、その発現が石灰化に関与していることを示唆していたので、この遺伝子の欠損マウスを作製した。しかし、期待に反して、Ifitm5欠損マウスの骨形態計測のパラメーター値は野生型マウスと全く変わらなかった。破骨細胞への影響も観察されなかった。また、Ifitm5欠損マウスでは、出生直後の長管骨が10%程度短いが、成長とともに野生型との差は見られなくなった。これらの結果は、個体レベルでの骨形成では、IFITM5の機能を補償する機構があることを示唆している。

花方 信孝

著者コメント

ここで紹介したように、IFITM5は細胞レベルでは石灰化に重要な役割を果たしていましたが、Ifitm5欠損マウスの骨形成には大きな異常は認められませんでした。期待した結果を得ることができずに落胆しながら論文をまとめ、掲載してくれる雑誌があるか不安でしたが、JBMMに掲載していただきました。この論文を発表した翌年(2012年)以降、V型の骨形成不全症 (OI-V)の患者は、Ifitm5に変異があるという論文が続々と発表され、Ifitm5がOI-Vの原因遺伝子であると考えられるようになりました。OI-Vの仮骨の過剰形成や骨間膜の石灰化などの症状は、IFITM5のgain-of-functionに由来するのかもしれません。OI-V発症機構について、変異型IFITM5と相互作用する分子の存在が想定されています。我々は、ここで紹介した論文と他の2つの論文で、野生型IFITM5と相互作用する分子を同定しています。この分子が、OI-Vと関わりがあることを期待しつつ、さらに研究を進めていきたいと考えています。
私は骨の研究に関しては門外漢です。たまたま依頼された人工骨の評価でIFITM5を見出し、この研究に取り組むようになりました。門外漢ですが骨代謝研究に貢献できればと思っています。(物質・材料研究機構/北海道大学生命科学院・花方 信孝)

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