日本骨代謝学会

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圧縮力負荷により産生されたCCN2はERK1/2経路を介し骨細胞のアポトーシスを誘導する。

Compressive force-produced CCN2 induces osteocyte apoptosis through ERK1/2 pathway
著者:Kenji Hoshi, Harumi Kawaki, Ichiro Takahashi, Nobuo Takeshita, Masahiro Seiryu, Sakhr A Murshid, Taisuke Masuda, Takahisa Anada, Ryushi Kato, Hideki Kitaura, Osamu Suzuki, Teruko Takano-Yamamoto
雑誌:J Bone Miner Res. 2013 Oct 24
  • 骨細胞
  • メカニカルストレス
  • CCN2

山本 照子

論文サマリー

骨細胞は骨組織中で最多の細胞群であり、石灰化した骨基質に埋入し存在する。細い突起を介し骨芽細胞や他の骨細胞と細胞間ネットワークを形成し情報交換をしていると考えられる。骨細胞は骨のメカノセンサーとして働いていると考えられ、メカニカルストレスを感知した骨細胞は、骨形成や骨吸収を調節する様々な遺伝子やタンパク質を発現し、骨リモデリングを調節していると考えられている。
CCN2は分化、増殖、遊走など細胞の種類により様々な機能を有する多機能性成長因子である。軟骨内骨化や膜内骨化、骨芽細胞の分化、増殖の促進など骨における働きも報告されているが、骨細胞における生理的作用は不明である。我々は以前、マウスの実験的歯の移動において、移動歯の圧迫側歯槽骨中の骨細胞においてCCN2の発現が上昇し、その後アポトーシスが誘導され、さらに破骨細胞数が増加することを報告した。そこで我々は、圧縮力負荷に伴う骨吸収に先立ち起こる骨細胞のアポトーシスにCCN2が関与しているのではないかと考え、これを検討することとした。
ニワトリ胚頭蓋骨由来の骨細胞に対し、伸展力と圧縮力負荷を行ったところ、圧縮力負荷群においてアポトーシスが誘導された。圧縮力負荷を行った骨細胞においてCCN2遺伝子の発現上昇と、CCN2タンパク質産生の亢進が認められた。また、リコンビナントCCN2タンパク処理を行った骨細胞においてアポトーシスが誘導され、CCN2中和抗体処理下で圧縮力負荷を行った骨細胞ではアポトーシスの誘導は阻害された。さらに、我々はCCN2がアポトーシスを誘導するメカニズムをERK1/2経路に着目し検討した。圧縮力負荷に伴い骨細胞ではERK1/2のリン酸化が亢進され、ERK1/2阻害剤処理下で圧縮力負荷を行ったところアポトーシスの誘導が阻害された。また、リコンビナントCCN2タンパク処理を行った骨細胞ではERK1/2のリン酸化が亢進し、CCN2中和抗体処理下で圧縮力負荷を行ったところERK1/2のリン酸化亢進が阻害された。以上より、骨細胞に対する圧縮力負荷に伴い産生が亢進されたCCN2タンパク質がERK1/2経路を介しアポトーシスを誘導することがわかった。本研究成果は、メカニカルストレス下における骨細胞による骨リモデリングの調節機構の一端を解明するものである。また骨粗鬆症や宇宙飛行士における骨量の減少に対して、CCN2中和抗体やERK1/2阻害剤などの活用によって薬剤開発も期待される。

山本 照子
山本 照子

著者コメント

私は大学院博士課程の折より骨細胞のメカニカルストレス応答の研究をさせて頂いております。研究を始めた頃、骨細胞についてほとんど何も分からなかった私は、山本先生の計らいにより岡山大学矯正歯科へ短期留学させて頂き、骨細胞の単離、培養などの研究手技についてご指導を賜りました。東北大学にて大学院博士課程修了後も骨細胞の研究を続ける機会を与えて頂き、諸先生方の継続した熱心なご指導を頂き、この度の研究成果へと辿りつくことができました。山本先生がこれまでにつくり上げられた恵まれた研究設備や他施設の先生方との繋がり、また多くの先生方のご指導・ご鞭撻に心より感謝致します(星)。震災で研究が一時中断しましたがようやく論文を完成しました。(東北大学大学院・山本 照子)