日本骨代謝学会

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アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)欠損マウスでは大腿骨骨幹部の骨構造が変化し皮質骨骨密度が増加する

Disruption of aldehyde dehydrogenase 2 gene results in altered cortical bone structure and increased cortical bone mineral density in the femoral diaphysis of mice.
著者:Tsuchiya T, Sakai A, Menuki K, Mori T, Takeuchi Y, Kanoh S, Utsunomiya H, Murai T, Isse T, Kawamoto T, Nakamura T
雑誌:Bone 2013 April; 53(2):358-368.
  • ALDH2
  • 皮質骨
  • メカニカルローディング

土屋 卓人

論文サマリー

アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)はアルコール代謝によって生成されたアセトアルデヒドを分解する酵素である。ALDH2酵素不活性型は東アジアに多く分布しており近年ALDH2遺伝子多型と骨粗鬆症との関連性が報告されている。我々は以前アルコール投与したaldh2欠損(aldh2-/-)マウスでは海綿骨量が減少したと報告したがアルコール非投与下におけるALDH2遺伝子の骨構造への影響は不明である。本研究で我々はアルコール非投与下におけるaldh2欠損マウスでの大腿骨構造をC57BL/6(aldh2+/+)マウスと比較評価しaldh2遺伝子欠損の影響を明らかした。pQCTによる解析では12週齢でaldh2-/-マウスはaldh2+/+マウスと比べ大腿骨骨幹部での皮質骨骨密度、皮質骨厚は有意に増加し、横断面積と骨髄腔断面積が低下しており、皮質骨骨形態計測では8週齢で骨内外膜面の骨形成率が有意に増加していた。新生児頭蓋骨由来の骨芽細胞培養ではaldh2-/-マウスのALP染色陽性細胞率が有意に増加していた。qRT-PCRによるmRNA解析でもaldh2-/-マウスではbmp2,osterixなどの骨形成系シグナルおよびwnt5a,lrp5/sost比といったwnt-βcateninシグナルの増加を認めた。さらにメカニカルローディングの影響を評価するためaldh2-/-マウスとaldh2+/+マウスを8週齢から7日間尾部懸垂を行った群、自発的クライミング運動を行った群さらにコントロール群と分類し骨形成シグナルのmRNA発現量の変化を比較検討した。尾部懸垂による骨形成系シグナルはaldh2+/+マウスではコントロール群と比べ有意に低下しており、aldh2-/-マウスでも同様の結果であった。一方自発的クライミング運動ではaldh2+/+マウスはコントロール群と比べ有意差なかったが、aldh2-/-マウスでは低下し、さらにpthrではクライミングでaldh2+/+マウスでは有意に増加していたがaldh2-/-マウスでは低下していた。これらの結果から大腿骨骨幹部横断面積の減少は成長期の比較的早期にみられたメカニカルローディングに対する不応性が考えられ、皮質骨骨密度の増加は遺伝子関連性の骨形成能亢進が抑制された横径成長の代償作用として成長後期に顕在化したものと考えられた。本研究よりALDH2が骨構造に関連している可能性が示唆され今後メカニズムの詳細な解析が期待される。

土屋 卓人

著者コメント

教室の多くの先輩方により受け継がれ、業績を残してきた骨代謝研究に私も関わりたいという思いから大学院に進学し研究の機会を与えていただきました。常に結果を出す難しさ、結果を評価する難しさに直面してきた研究生活でしたが、酒井昭典先生、中村利孝先生ご指導の下、結果に対し真摯に、そしてポジティブに向き合うことで研究成果を得ることができたと思っております。今研究を通じて研究の面白さ、奥深さを実感することができました。今回アルコール代謝酵素と骨代謝との関連性を示す結果が得られましたので今後はメカニズムの検討などに私自身関わっていけたらよいと考えております。あらためまして指導医の先生方に心より感謝いたします。(産業医科大学・土屋 卓人)

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