日本骨代謝学会

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閉経後骨粗鬆症例に対する週1回テリパラチド投与時の骨代謝マーカー変化のプロファイル

Profile of changes in bone turnover markers during once-weekly teriparatide administration for 24 weeks in postmenopausal women with osteoporosis.
著者:Sugimoto T, Nakamura T, Nakamura Y, Isogai Y, Shiraki M.
雑誌:Osteoporos Int. 2013 Oct 10. [Epub ahead of print] 25:1173-1180,2014
  • 骨形成
  • 骨吸収
  • テリパラチド

杉本 利嗣

論文サマリー

テリパラチド週1回製剤の投与は、1日1回製剤と同様に、骨密度を増加させ新規椎体骨折を抑制させる効果が認められている。また、1日1回製剤は骨形成・骨吸収マーカーをいずれも増加させるが、週1回製剤は骨形成マーカーを緩やかに増加させるのに対し、骨吸収マーカーは減少あるいは維持させる。そこで我々はテリパラチド週1回製剤が骨代謝に及ぼす影響をさらに検討するため、投与後24時間の骨代謝マーカーの変化および投与開始から24週間の骨代謝マーカーの推移を検討した。 対象は閉経後骨粗鬆症患者28例(平均年齢71.1歳)で、テリパラチド週1回製剤56.5μgを24週間にわたり皮下注射した。また、全例にカルシウム(610mg)、ビタミンD(400IU)、マグネシウム(30mg)を1日1回経口投与した。測定する骨形成マーカーは血清オステオカルシン(OC)と血清I型プロコラーゲンN-プロペプチド(P1NP)、骨吸収マーカーは尿中デオキシピリジノリン(DPD)と尿中I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)とした。 投与後24時間における骨代謝マーカーの変化をみると、血清OCは6、8、24時間後に最低値を示し、血清P1NPは6時間後に最低値を示したものの、24時間後には有意に増加した。尿中NTXと尿中DPDは共に投与2~6時間後に最高値まで増加し、その後減少した。これらの変化は24週間、減弱することなく認められた。 24週間の投与期間中の骨代謝マーカーのレベルは、血清OCが4週後に有意に増加し、その後24週後まで維持された。血清P1NPは投与4週後に有意に増加したものの、12週後には開始時のレベルに減少した。尿中NTXは4週後に有意に減少し、その後開始時のレベルに回復し、尿中DPDは4週後に減少し、以降も減少が維持された。 テリパラチド1日1回製剤では、早期の骨形成の増加とそれに続く骨吸収の増加が認められており、その差分がアナボリックウィンドウと呼ばれている。一方、今回の検討で認められた週1回製剤による骨形成の緩やかな増加と骨吸収の緩やかな低下は、骨に有益な新たなウィンドウの存在を示すものかもしれない。今後、テリパラチド週1回製剤による著明な骨折抑制効果をこの差が説明するか否かの検討が必要である。 テリパラチド週1回製剤の投与後24時間に認められた骨吸収マーカーの一過性の増加とその後の減少、骨形成マーカーの一過性の減少とそれに続く増加は、24週後まで同様のレベルで繰り返し認められた。このことは、テリパラチドが血中に存在する間は骨吸収を促進し、その後血中から消失することで骨形成を促進した結果による可能性が考えられた。 テリパラチド週1回製剤は、1日1回製剤とは異なるユニークな骨代謝マーカー変化を示すことが明らかとなった。

杉本 利嗣

著者コメント

私は臨床で生じた疑問点を基礎研究で明らかにし、一方基礎研究で見出したことを臨床で実証するという循環型アプローチの研究を心がけてきました。私のライフワークのPTHに関する研究も、基礎面で分泌調節、細胞内情報伝達そして骨形成促進機序、一方臨床面では副甲状腺機能亢進症や副甲状腺機能低下症例の検討などより、PTHの骨作用様式に関するヒトでの解析をすすめてきました。本研究では骨粗鬆症患者さんにおける週1回テリパラチド投与後24時間の骨代謝マーカーの反応性と反復投与時のマーカーの長期的反応性という臨床試験ならではのPTHの骨作用様式を明らかにすることができました。これまでの基礎及び臨床の研究をご指導、またともに進めていただいた先生方や本試験などでご協力頂いた患者さんに深く感謝致します。(島根大学医学部内科学講座内科学第一・杉本 利嗣)

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