日本骨代謝学会

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CCNファミリーメンバー2/結合組織成長因子(CCN2/CTGF)の軟骨組織特異的過剰発現はインスリン様成長因子の発現と骨の成長を誘発する

Cartilage-specific over-expression of CCN family member 2/connective tissue growth factor (CCN2/CTGF) stimulates insulin-like growth factor expression and bone growth.
著者:Tomita N, Hattori T, Itoh S, Aoyama E, Yao M, Yamashiro T, Takigawa M.
雑誌:PLoS One. 2013;8(3):e59226.
  • CCN2/CTGF
  • 内軟骨性骨形成
  • 骨伸長

服部 高子

論文サマリー

体の大きさは内軟骨性骨形成によって形成される長管骨の長さによってその大部分が規定される。したがって、この内軟骨性骨形成過程を正に制御する因子を探索する事は、骨形成不全症や小人症の治療だけでなく、骨折治癒を促進させる事にも繋がると思われる。我々が軟骨組織に高発現する因子として単離したCCNファミリーメンバー2/結合組織成長因子(CCN2/CTGF)は、成長軟骨細胞の増殖、基質合成を促進し、同細胞を肥大化〜最終分化まで導くこと、骨芽細胞の増殖、分化を促進すること、血管内皮細胞の増殖、遊走を促進し血管新生因子として働くこと、さらには、破骨細胞の形成も促進することを報告してきた。即ち、内軟骨性骨形成に重要なこれらの4種の細胞に作用して内軟骨性骨形成を促進することを主にin vitro の系で証明してきた。そこで本研究ではこのCCN2の内軟骨性骨化における役割をin vivoで確認するため、CCN2を軟骨組織のみに過剰発現させて内軟骨性骨形成に及ぼす効果を調べた。得られたトランスジェニック(TG)マウスは、出生直後から体長が大きくなり、その変化は解析した8週齢までは観察された。胎生18.5日齢および出生直後の長管骨切片では、プロテオグリカンおよび2型コラーゲンの軟骨組織における蓄積が野生型に比べ多量に観察され、成体長管骨のマイクロCT解析では、成長板近位部の皮質骨の厚みと骨塩量の増加が観察された。TGマウスの肢芽より採取した未分化間葉系細胞は、野生型と比較して高い軟骨細胞分化能を示し、新生児の肋軟骨より採取した培養軟骨細胞では、野生型に比べ強い2型コラーゲンおよびアグリカンの発現上昇を認め、さらに長期培養で、10型コラーゲン、mmp-9, vegf mRNA等の肥大軟骨マーカーの発現上昇も認められた。これらの結果より、軟骨組織においてCCN2は、成長軟骨細胞の全ての分化段階を正に制御している事が明らかとなった。TGマウス新生児の肋軟骨培養細胞では、正常マウス由来の軟骨細胞にCCN2を添加した時と同様に、IGF-IおよびIGF-II遺伝子の発現が亢進し、IGFRのリン酸化の亢進が見られた。また、IGFRのリン酸化阻害剤添加で、CCN2添加によるアグリカンmRNAの発現上昇は阻害された。今回の我々の結果から、CCN2は真にin vivoでも内軟骨性骨形成を促進する因子であることが証明された。また、その作用の少なくとも一部はIGF-1およびIGF-IIの誘導を介するものであることが示唆された。

服部 高子

著者コメント

このCCN2トランスジェニックマウスは、私自身が作製した最初の変異マウスで、論文が受理されるまでとても苦労した事が印象に残っています。このCCN2トランスジェニックマウスは、加齢後の関節軟骨でも多量のCCN2蛋白の蓄積を示し、通常ならば増殖がほとんど見られない関節軟骨細胞を増殖に導き、また、加齢に伴う関節軟骨基質の減少を防御して軟骨変性を強力に阻害し、軟骨をより「若い」状態に保ちます(Itoh, et al. PLoS ONE 8(8): e71156)。この事は、CCN2が関節軟骨の老化を防止する治療薬の新たな標的となる可能性を示唆しています。 (岡山大学 服部 高子)

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