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骨芽細胞系列およびT細胞が産生するRANKLの生理機能

Physiological functions of osteoblast lineage and T cell–derived RANKL in bone homeostasis
著者:Toshio Fumoto, Sunao Takeshita, Masako Ito, Kyoji Ikeda
雑誌:J Bone Miner Res (DOI 10.1002/jbmr.2096) 2014 in press
  • RANKL
  • 骨芽細胞
  • 骨細胞

麓 敏雄

論文サマリー

1.RANKL floxマウスを作成し、CAG-Creとの交配からグローバルノックアウト(gKO)、Osterix-Creとの交配から骨芽細胞系列でのノックアウト(ΔOb)、CD4-Creとの交配からT細胞でのノックアウト(ΔT)を作出した
2.gKOマウスは、従来法のノックアウトマウス(Nature 1999)と同様に典型的なpetrosisの症状を示した。
3.ΔObマウスでは、腰椎・大腿骨・脛骨などで80%以上のRANKL発現の低下を認めたが、脛骨ではgKOと同様に完全なpetrosisと破骨細胞の欠如を示したのに対して、腰椎では症状がきわめて軽く、部位依存的な影響が見られた。
4.gKOでもΔObでもhaploinsufficiencyが認められた(+/-あるいはΔOb/+でも有意な骨量の増加が見られた)ことから、RANKL発現量がきわめて厳密に制御されていることがうかがえた。
5.ΔOb/Obの海綿骨(リモデリングを受ける部位)の形態計測では、概して吸収抑制の程度に比して形成抑制の方が目立った。これは、とくに上記のヘテロ(+/-あるいはΔOb/+)の場合に明瞭で、形成の指標の低下が顕著であった。petrosisの症状があまり目立たない腰椎においても、形成の抑制は顕著であったのに対して、吸収の抑制はわずかであったことから、RANKL欠乏の影響が吸収相よりも形成相に大きいことがうかがえた。
6.大腿骨(後側)骨幹部の皮質骨では、通常モデリングにより骨外膜側がほぼ100%形成面、内膜側がほぼ100%吸収面になっているが、ΔOb/Obでは外側の形成抑制が顕著であった。ここでは、外と内という異なる面で形成と吸収が別々に起こっているので、海綿骨のように先行する吸収の抑制により二次的に形成が抑制されたとは考えられず、形成を行う骨芽細胞が直接RANKL欠乏の影響を受けた可能性がある。この形成抑制の結果、骨幹部の皮質骨では著明な菲薄化が認められ、海綿骨の異常な増殖と好対照であった。
7.骨におけるRANKLの相対的発現量に関しては、骨細胞分画(SOST+)よりも骨芽細胞分画(SOST-)での発現量の方が多かった。生前からドキシサイクリン(Dox)を投与することによりOsx-Creの発現を抑えpetrosisの発症を抑えておいた状態で、6週齢になってからDox offすることによりCreの発現を誘導したところ、12週齢での解析では骨芽細胞分画でのみRANKLの発現が抑制された。この実験状況下において骨量の有意な増加とCTX/Ocnの低下が認められたことから、(骨細胞とは別に)骨芽細胞由来のRANKLも重要な生理作用を担っていると考えた。
8.病態との関連について、ΔOb/ObマウスではOVX後の吸収亢進と骨量減少がほぼ完全に抑制されたことから、骨芽細胞系列由来のRANKLがエストロゲン欠乏による骨量減少に大きく寄与していることがうかがえた。一方、血清移入によるRAモデルマウスでは、炎症所見には関係しないが、骨芽細胞系列由来のRANKLが関節内の骨びらんと関節周囲の局所的な骨粗鬆化に部分的に寄与しているとの結果が得られた。
9.ΔTマウスにおいては、オスでもメスでも軽度ではあるが有意な骨量増加が認められたことから、骨芽細胞系列に加えてT細胞由来のRANKLも多少とも骨恒常性に寄与していると考えられた。しかし、上記のOVXやRAモデルでは対照群と有意な差が認められなかったことから、これらの病態での意義は確定しなかった。

著者コメント

RANKL floxとCAG-Creとの交配によってノックアウトマウスを作成することから取りかかりましたが、当時、遺伝子改変マウスの取り扱いがほぼ初めてだったこともあり、マウスをうまく育てられず実験がなかなか進まずに歯がゆい思いばかりしていたことが思い出されます。今では、歯の生えた健康なマウスよりもpetrosisのマウスの方が愛おしいと感じるようになってしまいました。長期間にわたって膨大な量の骨サンプルをマイクロCTでスキャンし、詳細な3次元解析をしていただいた長崎大学の伊東昌子先生に深く感謝いたします。(国立長寿医療センター 研究所 運動器疾患研究部・麓 敏雄)

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