日本骨代謝学会

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ASXL2は糖代謝、脂質代謝、及び骨代謝を調節する

ASXL2 Regulates Glucose, Lipid, and Skeletal Homeostasis.
著者:Izawa T, Rohatgi N, Fukunaga T, Wang QT, Silva MJ, Gardner MJ, McDaniel ML. Abumrad NA, Semenkovich CF, Teitelbaum SL, Zou W.
雑誌:Cell Reports 11, 1625-37 (2015).
  • ASXL2
  • 破骨細胞
  • 糖・脂質代謝

井澤 俊

論文サマリー

ASXL2(additional sex comb-like 2)はヒストンのメチル化を調節する核に存在するタンパクであり、ゲノムワイド解析から骨密度との相関性が明らかとなり、in vitroの解析により破骨細胞形成に寄与することが明らかとなった(PLoS Genet. 2011)。本研究では、Asxl2欠損マウスを解析し、破骨細胞形成能の著しい低下による重度の骨硬化症を認めた。さらに、ASXL2による破骨細胞形成はチアゾリジン系糖尿病薬の創薬ターゲットの一つであるPPARγの活性化に依存すること、さらに破骨細胞分化には転写因子c-Fos、及びミトコンドリア生合成にはPPARγのコアクチベーターであるPGC-1βを介した2つの独立した下流のシグナル伝達経路が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。また、Asxl2欠損マウスでは、インスリン抵抗性による脂肪萎縮がみられ、高脂肪食を与えても肥満を呈さないことが初めて明らかにされた。以上のことから、ASXL2が糖代謝、脂質代謝、及び骨代謝を調節していることを明らかにした。

 また、本論文内容はNat Rev Endocrinol. (2015年8月号)で”Bone: ASXL2-director of skeletal and metabolic homeostasis”と題してResearch Highlightのコーナーで紹介されました。

井澤 俊

著者コメント

 今回ご紹介した論文は、私がWashington University in St. LouisのTeitelbaum先生のラボに留学していた時に取り組んでいた研究成果です。Steven L. Teitelbaum先生、及びWei Zou先生の指導のもと、実験データを少しずつ積み重ね、帰国後も研究室の仲間に助けられ、少し時間はかかりましたがようやく研究成果を発表することができました。Co-first authorのNidhi Rohatgi先生やこの研究を通じて知り合った研究仲間は私にとってかけがえのない財産になりました。また、このような貴重な米国留学の機会を与えていただきました田中栄二教授、不在中にご迷惑をお掛けしました教室の皆様、留学前後でお世話になりました先生方にこの場をお借りしてお礼申し上げます。(徳島大学大学院 医歯薬学研究部 口腔顎顔面矯正学分野・井澤 俊)