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Generation of Col2a1-EGFP iPS Cells for Monitoring Chondrogenic Differentiation

著者:Saito T, Yano F, Mori D, Ohba S, Hojo H, Otsu M, Eto K, Nakauchi H, Tanaka S, Chung UI, Kawaguchi H.
雑誌:PLoS One 2013 8:e74137
  • iPS細胞
  • 軟骨再生
  • スクリーニングシステム

斎藤 琢

論文サマリー

iPS細胞は他の体細胞と異なり量的な制約がほとんどないことから、軟骨再生医療、特に変形性関節症にとって有望なセルソースと考えられる。しかしながらiPS細胞から軟骨細胞を効率良く分化誘導する方法は確立されておらず、実用化に堪えうるものは存在しない。我々はiPS細胞からの軟骨分化誘導法に有用な要素を効率的に検証するため、代表的な軟骨インジケーターマウスであるCol2a1-EGFPマウスの胎児線維芽細胞にOct4, Sox2, Klf4, c-Mycをレトロウイルスベクターを用いて安定導入し、軟骨インジケーターiPS細胞(Col2a1-EGFP-iPSC)を樹立した。

まず樹立した約30クローンについて、各ESマーカーの発現量とトランスジーンのサイレンシングをqPCRで確認し、発現パターンが最もマウスES細胞に近いクローンを2つ(C2-24, C2-27)選別した。これらのCol2a1-EGFP-iPSCをSCIDマウス精巣に注入して奇形腫形成実験を行ったところ、C2-24, C2-27とも三胚葉由来の組織を含んだ腫瘍塊を形成し、in vivoでも三胚葉への分化能を有することを確認した。
次にC2-24, C2-27をレチノイン酸存在下に胚葉体にして、軟骨分化に関与することが知られている様々なサイトカインを添加し、軟骨分化インジケーター細胞としての機能を検証した。C2-24, C2-27はインスリンやBMP、TGF-betaなど軟骨分化誘導能を持つサイトカインで良好な緑色蛍光を発し、その強度はアルシアンブルーの染色性やCol2a1などの軟骨特異的コラーゲンやSox9, Sox5, Sox6の発現上昇と一致することが確認された。軟骨分化能自体の評価として。マウスES細胞をコントロールとして比較したが、C2-24, C2-27における軟骨分化マーカーの上昇はES細胞におけるそれらと同等のレベルであり、軟骨分化能自体にも問題がないことを確認した。
また我々は軟骨分化誘導能を持つ低分子化合物TD-198946を同定、報告しているが(Ann Rheum Dis. 72:748-53, 2013)、TD-198946がC2-24, C2-27を強力に光らせ、iPS細胞に対しても強い軟骨分化誘導能を持つことも確認することができた。

著者コメント

私は、骨格形成における軟骨細胞の発生・分化と、関節軟骨の発生・維持・変性に関する基礎研究を中心的に行っておりますが、2008年に始まった文部科学省の「再生医療の実現化プロジェクト」の東京大学拠点(拠点長:中内啓光先生)に参加させて頂き、iPS細胞を用いた軟骨再生の基礎研究を行ってきました。プロジェクトは2012年度いっぱいで終了しましたが、その最初に行っていた基礎検討に関して今更ながら発表しました。
in vivo奇形腫形成実験では軟骨様組織が大量に含まれがちですが、in vitroで分化誘導することは難しく、私も現在まで多くの失敗を重ねております。再生研究は発生研究や病態研究と表裏一体であるとの考えから、今後も三つの研究を同時に行っていきたいと考えてます。(東京大学・斎藤 琢)

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